2013年2月22日金曜日

旅No.13ファドとイワシと「東京家族」

来週、川崎の名店ぴあにしもでやろうと思っている新曲が進まなくて
悶絶しております。つくづく自分がイヤになりますなあ...。

12月4日 Part 1
リスボン最初の朝食。
フエンヒロラの朝食とそんなに変わらない。
でも美味しい。朝からモリモリ食べる日本人。
部屋に帰ってゆっくりする。
ここも部屋に無料のwi-fiが来ているのでメールなどのチェック。
その後、ホテルを出てファド博物館へ向かう。
シアードまで歩いて市電28番に乗る。
乗ったらすぐのセ大聖堂前で降りて横の道を歩く。
大まかに場所を把握はしているつもりだったけどよくわかっていない。
この辺はアルファマ地区、ファドの聖地。
歩いているとバカリャウ デ モーリョというファドのお店を発見。
場所だけ覚えていつか来ようと思う。
テージョ川沿いの大きな通りに出ると巨大な客船が停泊中。
通りに出たはいいけど、ここどこ?ってかんじ。
開店前のレストランの準備をしていたニイちゃんにファド博物館はどこか訊ねる。
まっすぐ4,5分くらいとのこと。
ずんずん歩くが道が二股になっている。
迷わず大きい道の方へ。
ずんずん歩くけどそれらしき物がない。
と、ちょうど新聞や飲み物など売っているキオスクのスタンドを発見。
ミネラルウォーターを買いつつオッサンに道を訊ねるとこのすぐ裏だよと笑われる。
あー、すんませんすんませんと言いつつ店を後にする。
すぐそこにファド博物館。
博物館は以外と充実した展示内容。ゆっくり観てまわる。
出ると小雨。アウターのジャケットのフードをかぶる。
帰りはだいたい道もわかったので歩いてシアードまで行く。
若干お昼時を過ぎていてお腹がすいたので適当にレストランに入ってみる。
このポルトガル語のメニューが難敵。
でもイワシの文字を見つけてその料理とビールを頼む。
1ディッシュにイワシの塩焼き、茹でたジャガイモ、サラダ。イワシ5本くらいある。
ナイフ、フォークでイワシを食べるのがなんとも不思議な感覚。
魚好きなので道具にはこだわらない、アタマと骨だけ残しキレイに食べる。
お腹一杯になりホテルへ帰り、フロントのニイちゃんに今夜行こうと思っている
ファドのお店、オ・ファイヤは予約が必要か聞くと食事なしなら予約は必要ないとの事。
部屋に入り少し寝た。
写真はこの日のリスボン市内とファド博物館から撮った外。


はい映画。
「東京家族」
山田洋次が小津安二郎の東京物語を現代に置き換えた作品。
でも山田洋次らしさがよく出ている。
小津作品の方は戦後10年も経たない頃の作品で白黒映画。

小津安二郎の映画をいくつかまとめて観ていた時期があります。
似たようなストーリーもあるんだけど概ね家族の絆を描いている。
それぞれの作品からは暖かみだったり寂寥感だったりを画面から感じられるけど
それは瞬間的に強烈に訴えかけてくるのではなく物語を重ねながら
ほのかに、漂う、淡いとかの曖昧な空気感で伝わってくる。

小津安二郎の東京物語は東京の躍動的だけどどこか冷たい生活を描きながら
人生の寂寥感をエンディングへ向けて静かに収束させて行くような映画だった。
ハデに終わらない。静かに終わっていく。観終わった後、寂寥感がシミジミ残る。

今作、山田洋次の東京家族はいい映画です。
老いた親のいる私のような人は尚更観た方がいいかも。
でも小津作品と違ってシミジミした寂寥感ってあまり感じられない。

小津作品には出てこないキャラクターもいるんだけど、
その主要な登場人物の中では一番若いキャラクターを通じて
将来への希望や喜びを訴えていたように思う。
シミジミ寂寥感より希望と喜び。
人が亡くなる悲しみも強く感じさせる映画だけど
観終われば少し明るい気持ちで映画館を後にできると思う。

どちらの作品からも地方の豊かなコミュニティーの良さを感じられるが
山田洋次の方がくっきりそれを描いていたと思う。
小津が作ったときは地方においては当然のそのコミュニティーが
現在は地方においてさえ希薄になってきているからかも。

小津のテクニックを時々効果的に使う。
マネじゃなくこの作風に自然に取り込んでいると思う。

でも今作のあまり好きじゃないところもある。
背景で犬にフリスビーをわざわざさせなくてもいいと思う。
自転車で側溝に突っ込まなくてもいいと思う。
(観ない人にはナンのこっちゃ、ってかんじでしょうけど...)
前半では老夫婦を通じて、やるせなさをもっと感じさせて欲しかった。
どこか散漫でユーモラス(これいらないと思う)な空気。
老夫婦役の橋爪功と吉行和子が素晴らしい役者さんであることを再確認したけど
老夫婦にしては若いなと。もっとヨボヨボ感ある(失礼!)役者さんの方がなあ、と。

そうは言っても前述したようにいい作品には違いないです。
音楽もよかった。。
次は山田洋次の人情喜劇が観たいな〜。