2012年11月21日水曜日

冬の始まりと「北のカナリアたち」

前回までのツアーの記事も初秋のころの話で
今となってはチョイと色あせた感がありますな。
ツアーは前回記事の弘前で終わりですから話題を変えて...。

つい先日まで秋田に帰っておりました。
夜行バスで8時間。
秋田に早朝到着し下車すると晩秋のひんやりした空気と香りが身を包みます。
家の用事であちこち車で移動していると木々のくすんだ色の葉が
かろうじてへばり付いている様子がそこかしこに見られます。
聞けば秋田にくる前に強風が吹き、色づいた葉も吹き飛ばされたとのこと。
葉の色の様子も晩秋を感じさせますな。
で、東京に戻る当日の天気予報に☃(雪だるま)のマーク。
この日の空の雲もまるで冬みたい。
とある場所に夕方行ったところ、
強風とともに雪が舞っていた。
今日から冬、を実感した日でありました。

はい映画。
「北のカナリアたち」
吉永小百合主演のヒューマンサスペンス。
かつて、北海道の離島にある小学校で教えていた吉永小百合が演じる教師と
その6人の生徒たちの物語が中心となって進んでいく。
この生徒たち、それぞれが重い影を背負いながら成長するが
その影にある共通点を解きほぐしながら理解を深め合う。
先生が中心となり、大人に成長したかつての生徒たちが繋がりを深める、
だけの話になっていないところがこの映画を味わい深いものにしている。
先生自身にある人生の影や家族の苦悩が映画を観る人に共感を持って訴える。
吉永小百合の夫役の柴田恭兵も大学の先生という立場。
教師だからと言って聖人君子というわけではなく、悩みを抱える一人の人間だと。
その悩みを単に抱えたままではなく、その人なりの方法を持って何とか解決しようとする。
その方法の良し悪しとは関係なく、前に進みたいと思う姿勢に共感する。

吉永小百合の演技は素晴らしいと思うがセリフのトーンが
この時代にどうかなと思って映画を観たのだがそんなのは余計な心配だった。
元の教え子たちとして出演している女優たち、
満島ひかり、小池栄子、宮崎あおいの3人は私が大好きな方たちばかり。
やっぱり素晴らしかった。
吉永小百合がひたすら前に出る映画ではなく、
こういった若くて文句ない実力の役者たちの場面が
この映画のバランスを取っているみたい。
セリフはほとんどなかったけど(ん?あったかな?)仲村トオルの演技もとても印象的。
温かいエンディングで日本映画らしさ満載、グッときます。ハンカチ忘れないで。
音楽はあまりグッとこなかったけど。


2012年11月14日水曜日

ツアー四日目弘前喫茶れもんと「思秋期」

明け方5時くらいに着いた弘前はまだ暗い夜だった。
これが夏だとすっかり明るくなっていてそれが疲労を増加させる。
とにかく暗いうちに眠りたいと思い、途中で買ったビールを飲み寝る。
起きるとお昼過ぎ。
荷物をチェックしてたらサックス用のスタンドが無い。
ま、まさかと思い昨夜の仙台Crosbyの村上さんに問い合わせるとあったとのお返事。
昨夜の太田さんの忘れ物の件は笑えません。
村上さんに東京に送っていただけるようお願いする。
お腹がすいたのでホテルの周囲をブラついて何かお店があるか探してみる。
蕎麦屋を発見。すかさず入る。
カレー南蛮そば。(これを語るとだいぶスペースが必要になるのでいずれまた)
以外とイケる。
ホテルに帰りまた寝てしまう。
集合時間にみんなで今日のお店、喫茶れもんに行く。
とても素敵なお店。アコースティックな音を作る事にこだわりを感じる。
コンディションのいいピアノ。
お客様も大勢来ていただいた。
懐かしい方たちとも再会でき感動。
いい演奏ができたと思う。
お店で食事をいただいた後、10年以上ぶりに会った先輩が待つ飲み屋、というかスナックへ。
けっこう飲んだなあ。
ホテルに帰って気持ちよく就寝。


はい映画。
「思秋期」
衝動を抑えきれずに周囲の人たちを傷つけ、自分も傷つく中年男と
自分を抑えるあまり傷ついていく中年女の関わりを描くドラマ。
それぞれの不安定な感情からくる会話が
緊張感を持ちつつお互いのネガティブな部分を少しずつ埋め合うよう。
大きな事件が起きてしまう。
自分が相手を支える、あるいは支えられていることを感じる事で
この深刻な事件を乗り越えようとする前向きなエンディングにはなっているけど
映画を観終わったときに、明るい気持ちにはなれない。
自分がした事で後悔した事がない人などいない。
二人の主人公の痛みが映画を観る人にも伝わる。
監督はアスペルガー症候群であるという。
周囲との関係にずいぶん悩んだ時期もあったのかもしれない。
楽しい映画ではないけど沁みる。いつまでも沁みる。
とてもいい映画だと思う。

2012年11月11日日曜日

ツアー三日目Crosbyその2と「アルゴ」

うわっ!!
気がついたら11月も中旬じゃあーりませんか。
ずいぶんこのブログ放っといたなあ。
では前回の続きをば...。

Crosbyに着き、初対面のマスター村上さんとご挨拶。
楽器のセッティングをしてメンバーみんなで食事に行く。
この地でベーシストとして仕事されていた佐藤さんの案内で近所のラーメン屋へ。
シンプルだけど美味しいラーメン。体が暖まる。

Crosbyに戻って演奏。
仙台で生活している中学の同期とその奥様が来てくれた。本当にありがたい。
広くないお店なのでお客様との距離が近い。
やりやすい、と感じるワタスはやっぱりライブハウス育ちなんだろうなあ。
最終ステージにマスターの村上さんがギター持って加わる。
いい音している。聴いててグッとくる。

演奏終わって食事をいただくがお酒はNG。
この後すぐ、東北道を北上して弘前のホテルまで車を運転して行かねばならない。
実はこの時期、仙台を中心に「ねんりんピック」なるものがあり、
ほとんどのホテルが一杯という状況。
仙台はただでさえ震災復興事業のための宿泊先確保のためホテルの予約が多く入っている。
宿無しの私たちは仕方なく明日演奏予定の弘前まで行く事になってしまった。
290kmくらいの距離なので運転を交代しながら行くつもり。
ちなみに東京からだと福島市のチョイ先あたりまでの距離らしい。

マスターやお店のスタッフと別れのご挨拶もそこそこに急いで機材を車に積み込み出発。
走り出したとたんマスターからDrの太田さんに電話があり、
Dr関係の楽器の忘れ物のお知らせ。
お店の外までわざわざ出てきていただき忘れ物を受け取る。
改めてお礼を述べ出発。
車中、太田さんに「いや〜、太田さんも意外とあわてんぼーですねー」などと言ったりする。

運転はその太田さん。
いつでも代われるようにしていたのだが、結局一人で弘前まで運転してしまった。
弘前のホテルに着いたのが明け方5時近く。
それぞれ部屋に入り寝る。


はい映画。
「アルゴ」
俳優として文句ない評価のあるベン・アフレックが監督と主役をつとめた映画。
1979年に実際起こったテヘランのアメリカ大使館占拠事件を扱ったサスペンス映画。
CIAが荒唐無稽なプランで臨んだテヘランからの救出劇を描いている。
結末のわかっている物語なんだけど映画の最後まで緊張感がものスゴい。
固定カメラに頼らない映像がリアル感感じさせる。
でも目は疲れない。ウマいと思う。
話の展開にドキドキ、台詞のやり取りにハラハラ。

人質取って大使館を占拠することは犯罪だけど、
当時の情勢を説明していて一方的にイランが悪くてアメリカが正しい、
という風な作り方をしていないのが好感持てる。
ベテランの役者たちも緊張感ある物語の中、いいアクセントになっている。
この映画、ベン・アフレックの監督としての力量はスゴいと思う。
ものスゴく面白いです。
エンドロールもチョイとお楽しみがあって最後までスクリーンから目が離せない。
DVDでも面白い映画だと思うけどぜひ映画館で観ることをおすすめしたい。